北朝鮮が中国を異例の名指し批判 北朝鮮の暴走は有り得るか
北朝鮮が中国を名指しで批判するという異例の事態が起きた。
中国の人民日報と環球時報が最近北朝鮮に対して厳しい論調を繰り返している。
人民日報と環球時報は中国共産党中央委員会の機関紙なので、そこが北朝鮮に対して言っていることは中国政府が言っているのと同じだ、ということで北朝鮮が今回の名指し批判を行ったとみられている。
これまで北朝鮮が中国に対して名前を出さず遠回しに批判することはあったものの、今回のように名指しで批判するという事は無かったことなので、今後中朝関係がどうなっていくのか注視したいところ。
今回の名指し批判の背景には、最近アメリカと中国の距離が近づいていることに対する反発という部分と、中国に何を言われても核開発は止めないぞと宣言しているという部分があると考えられる。
逆に言えば、北朝鮮が中国に対してこれだけ強気で出るのは、中国が北朝鮮を完全に見捨てることはないと考えているからともいえる。
緩衝地帯となっている北朝鮮を失うと中国にとっては大打撃になる。
そこを見越して北朝鮮は今回のような強気な発言をしているところもある。
そもそも最近北朝鮮に対する中国の影響力が弱まっている背景には、中国に対する北朝鮮の不満と不信感がある。
元々固い絆で結ばれていた中朝関係だが、どんどん大国になっていく中国を見て、いずれ北朝鮮は中国に支配されてしまうのではないかという恐怖感がある。
しかも中国は、北朝鮮と仲が悪い国ともどんどん関係を近づけている。
そして中国自身も資本主義の仕組みを導入していっている。
このような状況について北朝鮮は、もう中国はあてにできないと考えて、ますます核開発に力を入れることとなった。
ただ、これだけ強気に出ている北朝鮮だが、この勢いで他国にミサイル攻撃を仕掛けるという事はまず考えられない。
北朝鮮がまず第一に大事にしているのは体制の維持。
北朝鮮から先制攻撃してしまうと他国に反撃を食らってしまうので、自ら攻撃するという可能性は低い。
あくまで核の抑止力を背景に強気の交渉を続けていくというのが北朝鮮の戦略。
しかし北朝鮮の中には今の体制の転換を望んでいる人間も増えているので、何かの行き違いで北朝鮮が暴発するということも全く無いとは言い切れない。
いずれにしろ、しばらくは北朝鮮で大きなイベントが無いので、北朝鮮もアメリカも最近のような緊張状態はやわらいで、対話ムードで進んでいく可能性が高い。